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とりあえずよろず。
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「それは何だ」
僅かばかりの沈黙の後、オラトリオが発した問いにオラクルは至極あっさりと応えた。
「猫です」

訪れたオラクルの部屋、いつも通りにこやかに出迎えた家主の影にいつも通りで無い生き物はいた。上品そうな白い毛並みをして、金色の瞳でちらりとオラトリオを一瞥した後、はたりと細い尾を振る。そして、小さな鈴を振るような可憐さでにゃーんと鳴いた。
「可愛いだろう?」
如何にも生後間も無い様子の仔猫を抱き上げ、オラクルが頬を寄せる。
可愛いのは可愛いんだけどね…とオラトリオは力なく呟いた。
「いいからお前、そこに座れ。それも一緒でいいから」
云われてオラクルは素直にテーブルに着く。真向かいに座るその位置は、食事のときでなければ話し合いの位置と決まっている。
「質問そのイチ。そいつどうしたの?」
「拾った」
「質問そのニ。そいつどうしてぇの?」
「飼えたら嬉しい」
「質問そのサン。ココってペットO.K?」
「実はN.G.」
むむむとオラトリオが難しい顔になるのに、オラクルはいたって涼やかな顔だ。
「2月の22日だったんだよね」
「あ?」
「2月22日。このコに会ったのが」
のんびりと膝の上の仔猫をオラクルが撫ぜる。撫ぜられる小さな生き物も、撫ぜる白い手もその風情は不思議と優雅だ。
うんざりとオラトリオは天を仰いだ。
「意図が掴めません先生。ご説明を」
「にゃーにゃーにゃーの日、なんだって」
「…それは捨て猫を見捨てると呪われる日かなんかなのか?」
「ううん、知らない。多分、可愛いからそう云ってるだけだと思う。エモーションも何も云わなかったし」
これもある意味縁かなぁと思って、とオラクルは続けた。
立ち居振る舞いの優雅さと行動の破天荒さにおいて追随を許さない、カシオペア家長女の笑顔がオラトリオの脳裏をよぎる。…笑い声つきで。常に楽しい方へとピンポン玉のように弾んでいく彼女は、個体としてはたいそう魅力的な存在だが、その周辺人物となるにはいささか体力と精神力が要る。特に、まさに彼の眼前にいる世間知らずとタッグを組むとその相性は最凶だ。
ぐしゃりと前髪をかき乱す。困ったとき、思案するときの彼の癖だ。
「…やっぱり駄目、かな?」
首を少し傾げ、覗き込むような仕草。本人は果たして知っているのかいないのか、濃い赤茶の瞳をよぎる不安そうな影にオラトリオは実に弱い。
「あー…」

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月がにゃーなうちにと書き始めたにゃーネタ。バレンタイン完全スルーしておきながら何でにゃーにはこうも情熱的(?)なのか自分;
2月22日はにゃーにゃーにゃーで23日はにゃーにゃーさん、25日はにゃーにゃーゴー(GO)…誰が言い出したんだろう。やっぱりドコカの毛玉好き何だろうなぁ。
ちょっと疲れたので休憩。
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あたたかなカップの中、紅茶よりも少し明るく澄んだ色をした液体をオラトリオはゆらゆらと揺らした。すっきりとしたハーブの香が辺りに漂う。
爽やかな口当たりのミントティーは、実は〈ORACLE〉で供されることはあまりない。珍しいけれど、偶になら悪くない。さっくりと軽く焼き上げたクッキーとも良く合ってこれはこれで良い。
降りてくる照明は午後の柔らかな日差しにも似て優しく、ほんのりと熱を帯びているようにすら感じられる。エモーション嬢ご推薦の映画は恋愛物としてもサスペンスとしても質がよく、二人は満足な余暇を過ごすことができた。特撮を交えたアクションは、彼等にとってさほど感動的ではなかったが、スタントなしに撮影をやりとげたヒロインをオラクルは絶賛した。
身振り手振りを交え、なかなかの熱演で気に入ったシーンを再現してみせる。僅かに顔を伏せた様が、女優が表現し続けたヒロインの影をよく映していて、手を叩いてオラトリオが誉めると嬉しそうにオラクルは笑った。
その陽性の笑顔は、つい今しがたの影を一瞬で打ち消して尚余りある。鮮やか過ぎるほどの表情の差にオラトリオは引き込まれるような感覚を覚えた。
見惚れてしまった照れ隠しに、大口開けて笑ってんじゃねーよなんて苦笑まじりに云ってみせれば、失敬な奴だとオラクルがこづく。しかし云うほど不快だったわけではないらしく、
「エモーションにお礼言わなきゃ」
とすぐに話題は移っていった。


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何つーか繋げたい方向に話が行きそうにないので断念。
アプローチを変えてみます。
うふふ私本気ですよ?携帯でぱちぱち打ち込んでるうちにうっかり手袋を片方落とし、そのまま気付かずなくしてしまったりとかそんな余談もあるくらい(←関係ない)

歌がもとになってます。狙って書いたのでその件に関しては突っ込み不要。


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